2006年 08月 12日
King George Airpark (CSK8) |
King George Airpark は Boundary Bay (CZBB) の管制圏の東にあるウルトラライトプレーン(超軽量飛行機)専用の空港です。この空港は CZBB へ出入りする時のレポーティング(位地通報地点)になっているので毎日の様に上空を通過していますが、北米のウルトラライトのメッカ(聖地)と言われるくらいウルトラライト専用としては規模の大きな空港です。
現在は近隣住民からの騒音問題等で一本の滑走路が閉鎖されてしまいましたが最近まで横風用とメインの2本の滑走路がありました。 ここでウルトラライトの学校を経営しているジョージとは数年来の友人でちょっとした用事があったので木曜日に仕事を終えて彼のオフィスを訪ねました。仕事では毎日の様に上空を通過していますがこうして地上からこの空港を訪ねるのは今回が初めてなので正直いって興味深々でした。
ここでカナダにおけるウルトラライトプレーン(超軽量飛行機)のカテゴリーについて解説します。カナダではウルトラライト機は最大離陸重量が1200ボンド以下の航空機の事でこれを操縦する為に最低必要な資格はウルトラライトプレーン・パーミット(許可証)です。パーミットなのでナイトレーティング(夜間飛行証明)などのレーティングを取得する事はできません。座席定員も最大2人までです。パーミットが故に座席数の制限や夜間飛べない事などの制限はありますが日本の超軽量飛行機の位置付けとは異なり出発地点からの飛行距離制限などはありません。モードCトランスポンダーや無線機なとを装備していればバンクーバー国際空港などのクラスCエアスペースにも出入り可能です。基本的にアメリカ大陸を縦横無尽に飛び回ることが可能です。(航続距離さえ許せば海を越えてヨーロッパに行く事も可能だと思います。)数年前にカナダ北部のアラスカハイウェイ沿いの小さな街でカナダ軍と英国軍と米軍の共同プロジェクトでエンジンつきのハンググライダーの様なウルトラライト機で北米大陸を縦断している人達に出会った事がありますが超軽量飛行機でそのようなロング・トリップをする事も合法で可能です。 デザインは様々ですがエンジンはオーストリアのロータックス社製の80~100馬力のエンジンが主流です。しかし、このカテゴリーは基本的に「何でもあり」なので日本製の自動車用エンジン等を使用している事もあります。
写真は近代的なウルトラライト機ですが姿形は少々歪ですが見た目は軽飛行機と大差はありません。基本的にスティックコントロールが多い様です。計器も最低限の物が装備されています。写真下の機体にはモードCトランスポンダーなんかも装備されています。トランスポンダーは管制レーダーに認識される為に必要な機器なのですが価格が約$2000するのでオーナーさん達にとっては高価な装備です。
こんな可愛らしいデザインの機体もあります。
水上機もあります。赤い方が80馬力で青い方が100馬力のエンジンを搭載しているそうです。このクラスになるとウルトラライト機と言えでもかなり高価です。ちなみにウルトラライトカテゴリーにはフロートレーティングがありません。ライセンス(免許)と違ってパーミット(許可証)なのでレーティングが付加出来ないので当然ですが・・・。
写真下のフロート機の車輪に注目ください。着水する時には車輪を格納するそうです。まあ車輪を格納しないで着水したら引っ掛かって転倒して大変な事になるのは疑う余地が無いでしょうが・・・。
写真下はカナダの会社が製造販売しているマーフィーと言う機体です。日本でも北海道で飛ばしている方々がいるのをインターネットで見たことがあります。この機体には車のターボチャージャーで有名なHKS社製のエンジンが搭載されていました。日本のHKS社が航空機エンジン?を作っているなんて知りませんでした。この機体心なしか他の機体より扁平率の低いワイドなタイヤを装着している様な・・・・・・。カート用のタイヤか何かでしょうか? (^^;
訪れたこの日は近所の老人クラブか何かの団体が80何歳?の誕生日を迎えるおばあちゃんにウルトラライトの体験飛行をプレゼントすると言う企画で地元ローカル紙の取材が来ていました。たいへん元気なおばあちゃん達で冗談ばかり言ってパイロットにループなどのアクロバッット飛行をしてくれと頼むなど大はしゃぎしていました。
これはハンググライダ-の様な不安定な主翼に胴体とエンジンがぶら下がっているタイプで取材に来た記者は怖くて乗りたくないと言っていました。ちなみにエンジンは日本のスズキ社製の1000ccのエンジンです。
パイロットもパッセンジャーも夏だと言うのに防寒用のジャンプスーツを着込んでいます。お婆ちゃんが「暑いから早く飛ぼうよ!」ギャ-ギャ-言っていました。
エンジンを始動してタクシング開始していよいよ離陸です。思ったより短い滑走距離で余裕でテイクオフして行きました。
この乗り物は映画の「ET」に出てくるのにどこか雰囲気が似ていますね。
写真はこの空港のメイン・ターミナル?ピクニックテーブルのところで哀愁を漂わせて座っている人がエアポート・マネージャーです。
ウルトラライトは一般の航空機に比べると法規制も少ないので比較的安価で気軽に飛行が楽しめる手段だと思います。機体の重量から比べるとエンジンのパワーもあって運動性能も良く航続距離も一般機と変わらないので私も暇と時間があったらチェックアウトを受けて是非レンタルして何処かへ遊びに行ってみたいと真面目に思ってしまいました。日本のウルトラライト機フリークの皆さん、是非カナダに来て大自然の中でウルトラライトを思う存分飛ばしてみてはいかがでしょうか?
現在は近隣住民からの騒音問題等で一本の滑走路が閉鎖されてしまいましたが最近まで横風用とメインの2本の滑走路がありました。
by javiator
| 2006-08-12 01:37
| 海外航空事情